「5S」への取り組み・弊社の「5S」導入
 2009.08.05

-ISOをこえる効果

「5S」とは、「整理(不要なモノを捨てること)」「清掃(常にキレイにすること)」「整頓(すぐに取り出せるようにすること)」「清潔(整理、清掃、整頓を維持すること)」「しつけ(決められたことをまもること)」と定義されている。

「5S」は、当たり前のことを当たり前に実践することですが、費用や人手をかけずに導入できる上、中小企業のモノづくり現場において、安全性の向上、品質の向上、生産性向上の観点から「ISO」よりも効果があるいわれています。

弊社では、「5S」を積極的に取り入れ実践することで、お客様への貢献、環境・社会への貢献を目指しております。

参考文献「5Sのすすめ方(日本能率協会マネジメントセンター)」
参考文献「中小企業のための実践!5S塾(日刊工業新聞社)」

今日必要なもの以外はすべて工場の外へ~5S導入

-「中小企業のための実践!5S塾」より

こんなに忙しいのに、5Sなんかできるんですかね。まして、皆が集まる会議室もない小さな会社なんですよ---。平成15年5月に(財)栃木県南地域地場産業振興センター(地場産センター)で行われた5S説明会で、こんな質問をした清田アルマイト。5Sは全くの初めて。こちらからの説明はすべてチンプンカンプンだったと当時を思い出して、清田社長はいう。

それに対して、「今やらなくて、いつやるのですか。今やらない人は永久にやらない場合がほとんどです。会議室なんて問題ではありません。現場があるでしょう」と答えたことを、今でも筆者や清田社長は覚えている。

そんな会話を交わした後、訪問してみると、工場の中はものであふれかえっていた。多少台車はあったが、ほとんどは部品を腕に抱えて運んでいる状態。作業位置と部品の距離などお構いなし、という有様。いずれにしろ、とにかく要らないものを捨てましょうというと、要らないものはありません、という返事が返ってきた。そういいながらも、清田社長が、頭の中では必死でその意味合いを整理していることがよくわかった。

そうこうしながらスタートし、それなりに不要物の整理が進んだ時点で、部品の位置によってさえ生産性が変ってくること、すべてのものに車輪(台車)を、などと説明した。後日談だが、その当時、ものがあふれている状態で、台車などを追加したらどうなってしまうだろう、工場を増築しようとでもいうのだろうか、と真面目に考えたそうである。

一年後にはほとんどのものが説明したとおりになった。清田社長曰く、台車の上にものが乗ったので、スペースは変らなかったですね、ということになった。さらに一年後、二年後になると不要物がほとんど整理され、工場の中にあるものは基本的には一日分、ということになり、通路も広く確保されて、工場の中はスカスカになった。

最近、物流を考慮して、出口と入り口を東側と西側に分け、しれに合わせて出口側に倉庫を作った。それにより、必要なものが明確になったため、工場の中の棚は、1.3mの高さ制限も可能となり、工場内が一目で見渡せるようになった。

あるとき、企業概要を作って、自分の強み・弱みを知って次に備える、ということを提示したところ、これが5Sの究極ですか、と素直に認めてくれ、その以後、ずっとその考え方に沿って工場をみている、とのこと。だから、ISO規格は取得しなくても、取引企業のISO規格を基にしたチェックシートによる監査があれば、自分でその要求事項を吟味して、自分なりの解釈で管理項目を取り入れている。もちろん、水処理や廃棄などの管理のためには投資をするし、職場の環境にもこまめに配慮している。また、さまざまな情報の5Sも、大企業OBなどに協力してもらって進めている。

清田社長のスタイルは、率先垂範に尽きる。特に、日曜日に一人で現場に立ち、ああでもない、こうでもない、と考えるのが楽しくてしょうがないそうだ。その雰囲気が、最近多くなった工場見学者にも伝わるとみえて、経営者がそこまでやるんですか、と羨ましがられているほど。多くの中小企業で、この種のリーダーシップが弱くなっていることを考え合わせると、企業を変えるには、いかにリーダーシップが大切かということを改めて考えさせられる。

清田社長は、「着眼大局・着手小局」を本当によく理解した経営者になってきた。5Sが経営を変え、企業を変える、ということをよく理解し、経営的な整理と、現場的な実践とをうまく絡みあわせている。だから慌てずに地道な活動ながら、確実な活動の積み重ねとなっている。

カテゴリー:技術への取り組み
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